うっとおしい日が続きますね。
今回、次回とHRT(Hormone Replacement Therapy:ホルモン補充療法)の副作用、検査について説明させていただこうと思います。
更年期障害は卵巣からの女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)の分泌が年齢とともに少なくなり、そのギャップが症状として現れることが考えられるため、こうした女性ホルモンを補ってそのギャップを埋めてあげればいいというのがHRTの考え方です、というのは前回お話しました。従いましてHRTの副作用とはその補ったホルモンが引き起こす困った症状ということになります。
女性ホルモンは、そもそも子宮内膜を厚くし受精卵が着床しやすいようにしたり、乳腺を発達させたりという、言わば妊娠、授乳に備える働きがあったわけですから、そのホルモンが補われると、最初は子宮内膜が厚くなることで不正性器出血が起きたり、乳腺が発達することで乳房のはり、痛みなど出てくる方もいらっしゃいます。その他、そもそもホルモン剤が合わず頭痛がしたり、気持ち悪くなるなどの副作用が出ることもありますが、いずれにしましても2カ月目、3カ月目と段々気にならなくなり自然に治まることが多いです。また治まらなければ量を調節したり、処方を変更しますので、これらの症状が現れたからといって自分の判断で中止せず必ずご相談ください。
またエストロゲンの重大な副作用として、ごくまれに凝固系の機能亢進により血栓症を引き起こすことがあります。ご存じの通りケガをして出血したときなどは血液内の凝固系(主に血小板)の働きで止血するわけですが、その止血の機能が高まり過ぎると血管の中で固まってしまい、その固まり(血栓と言います)が脳、心臓、肺などに飛べば脳卒中、心筋梗塞、肺梗塞を引き起こしてしまいます。そのため、特に使い始めの時期には慎重に様子を見ます。従いまして、喫煙や肥満がある人は血栓症のリスクが高いため、エストロゲン製剤の投与には特に注意が必要です。脳卒中、心筋梗塞にかかったことがある人は、ホルモン補充療法を受けることができません。ホルモン補充療法を受けられるかどうかは、担当の医師に確認してください。
こうしたことを踏まえ、当院では半年に一度血液検査をさせて頂き副作用が発現する前にその兆候を捕まえるようにしています。つまり安全にお使いいただいていることを確認しながら安心していただけるようにしていますので、ご安心を。逆にネットなどでこうしたホルモン製剤をご自身で入手してる方はとても心配です。ご自身で必ずチェックを受けるようお願いします。
また長くなってしまった。スタッフに怒られる。
次回は、もう少し副作用について。
根本産婦人科医院 院長 根本 将之