ドクターコラム

2023.11.17更新

今日は、早発閉経についてお話させてください。
日本人の閉経の平均年齢は50才と言われていますが、それよりも10年以上早く閉経してしまう方がいらっしゃいます。鬱陶しい生理が無くなり清々したと言う人もいますが、喜んでいる場合ではありません。無月経、つまり3カ月以上月経がないという状態になったということは、それまで生理を回していた女性ホルモンが無くなった、あるいは働くなった可能性があります。この卵巣の機能が低下するという状態を卵巣機能不全といい、40歳未満で無月経となる場合を早発卵巣不全(premature ovarian failure:POF)といいます。POFは40歳未満の女性の1%に起こりうる決して少なくない病態です。POFを発症する要因は様々考えられていますが多くの場合原因不明です。細かい話をしますと、POFには卵巣内の卵胞がほぼ無くなってしまう早発閉経と、卵巣内にまだ卵胞はあるけれどもホルモンに対し反応しなくなり結果として無排卵・無月経となるゴナドトロピン抵抗性卵巣症候群の2つが考えられています。
いずれにしても、この女性ホルモンが無くなった、働くなったという状態を人よりも10年早く迎えるということは、人よりも10年長く女性ホルモンが不足しているという状態を経験せざるを得ないということです。
先ずこれは人よりも10年早く更年期障害に見舞われるということを意味します。更年期障害につきましては以前このコラムで触れましたのでご参照下さい。更年期障害も大変ですが、より心配なのは高コレステロール血症と骨粗鬆症です。女性ホルモンが月経を回すだけではなく、根本的な女性の健康に貢献している、具体的にはコレステロールを分解する働きと、骨代謝を調整する働きがあることは前回のコラムで述べました。ですから、人よりも10年早く閉経するということは、人よりも10年早くコレステロールを分解してくれる人がいなくなる、あるいは骨を作る人がいなくなるということですから、高コレステロール血症による脳卒中、心筋梗塞等のリスク、そして骨粗鬆症による骨折のリスクが高まってしまうわけです。
ですから、40才未満で3カ月以上月経が無い場合は、必ずホルモン値の血液検査に来てください。また卵巣内に卵胞がまだあるか心配な場合は抗ミュラー管ホルモン(Anti-Mullerian Hormone:AMH)というホルモンを測定することで分かります。検査の結果POFと診断されても、不足したホルモンを補えばいいだけです。ホルモン補充療法(Hormone Replacement Therapy:HRT)につきましても以前のコラムで述べましたので見て下さい。

その他、女性ホルモン、エストロゲンには丸みを帯びた女性らしい身体作り、頭髪や皮膚に潤いを与える等健康的な身体を作る役割も果たしています。思い当たるときは、まずご相談にお越し頂くといいと思います。自身の体験も含め、経験豊富で優秀な女性スタッフも相談に乗ってくれますよ。ものすごく良く勉強しています。
根本産婦人科医院 院長 根本 将之

投稿者: 医療法人社団凌雲会

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