ドクターコラム

2024.01.19更新

厳しい寒さが続きます。
被災地の方の健康を祈らずにはおられません。

前回子宮内膜症のあらかたの成り立ちなどについてお話しました。痛みだけではなく、将来を見据えた対応が必要ですと。
今回は思春期の月経困難症についてです。
子宮内膜症は20代後半から発症することが多いと言われていますが、前回述べましたとおり、これは痛み止めが効かなくなって初めて受診して診断される方が多いためかもしれません。しかし鎮痛剤は痛みを軽減するだけで内膜症の原因を治療するものではありませんので、痛み止めが効いている間にも内膜症は進行しお腹の中の癒着が形成されていってしまうかもしれないことも前回お話しました。ですから20代後半まで生理中の痛みを鎮痛薬だけで対処していると、気づかないうちに子宮内膜症が進行しお腹の中の癒着が進んでしまう可能性があるということです。この癒着が卵巣まで及びますと月経痛だけではなく排卵痛が強くなってきます。また卵管にまで及びますと卵管狭窄、卵管閉塞などを引き起こしてしまいます。卵管がつまれば排卵された卵胞を取り込めませんから、将来不妊につながる可能性も指摘されています。つまり将来妊娠できる力をキープするためにも早めに適切な対応することが必要だということです。ましてや近年の傾向として、出産する年齢が高くなってきています。30歳代になるまでに妊娠をしない方も多いです。妊娠を望んだ時に妊娠できる力をキープするということを考えて、症状がある場合は早いうちから速やかに治療を開始することが大切です。早いうちというのは10代、場合によっては小学生も含みます。月経痛が毎月しんどい、だんだんと辛くなったきた、痛み止めが効きづらくなってきた、効かなくなってきた、またそれに伴って登校が遅れる、休みがちになるなどして授業に支障が出てきたなどが受診のタイミングかと。もちろん思春期の患者さんに内診等行うことはありませんので安心して受診して頂き診断を受けてください。

治療は低用量経口避妊薬(LEP)を中心としたホルモン療法が良いでしょう。低用量経口避妊薬を使うことで子宮内膜症の進行を抑え将来妊娠しやすい体を保つことができるからです。結論から言いますと思春期の女性への低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP製剤)投与には問題はありませんが、ご心配も最もですので、次回はその辺にについて少し詳しくお話しましょう。当院では数多くの小中学生や高校生が低用量ピルで生理痛から解放され喜んで頂いています。
根本産婦人科医院 院長 根本 将之

投稿者: 医療法人社団凌雲会

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