ドクターコラム

2024.03.08更新

今日は子宮頸がん検診のお話をします。
結果が届いても患者さんの中には理解しづらいとの師長のリクエストです。

子宮頸がんは、HPVワクチンのコラムでお話しましたが、日本ではまだ年間10000人がかかり3000人が亡くなっている癌です。子宮癌検診は子宮頸がん罹患率を減少させる膨大なかつ確実な証拠がある検査です。市町村によって多少の違いはあるみたいですが、基本的には20代以降の年齢の方に公費で行えるようになっています。市から案内が来たら、ワクチン接種後の方も含め必ず来院してください。

一般的に子宮頸がん検診は、問診、腟鏡診(子宮頸部の観察)と細胞診(子宮頸部の細胞をブラシなどで採取し顕微鏡で調べる)で行われます。当院ではご希望があった場合や医師が必要と判断した場合に、超音波検査を加え検査の確度を上げるようにしています。また症状のある方などには内診(子宮や卵巣の触診)を行い症状の部位を特定するという診察も行っています。子宮癌検診で子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、卵巣嚢腫等々の他の病変が超音波検査で、見つかることもあります。また近年、別の検診方法として自分で採取する自己採取細胞診検査があるようですが、この方法は国立がん研究センターにて「精度が悪く受けるべきではない」とされています。必ず医師による検診を受けて下さい。
市の子宮頸がん検診の結果は当院検査後3-4週間後郵送で届き、「精密検査不要(異常なし)」と「要精密検査(異常あり)」のいずれかのみが記載されています。「精密検査不要(異常なし)」の方は、以後何もなければ次回の案内まで検査は不要です。「要精密検査(異常あり)」の場合は速やかに、必ず、精密検査を受けに来てください。要精密検査の方で、それががんである確率は約1%ですのであまり心配せず。ただ、がんでないにしても、それが将来がんになりかねない前がん病変であったりした場合、がんになる前に治療し、大事に至らないようにすることも出来るわけです。ですから、「がんだと言われたらどうしよう」とか、逆に「1%なら大丈夫だろう」などと先延ばしにせず、すみやかに精密検査を受けましょう。
来院頂きましたら、結果につきもちろん詳しくお話します。結果は、悪性と良性の区別がつかない「ASC-US」から扁平上皮がん「SCC」等までになります。結果次第で、例えば、「ASC-US」はがんへと進む前に異形が自然に消退するケースも少なくありませんが定期的に診ていきましょうね、とかお話します。精密検査はHPV検査、コルポスコピー検査(拡大鏡で子宮頸部を観察する検査)、生検(組織の一部を採取)などになります。

あまり受けたくない検査であることは十分に承知しています。きわめて短時間で済むように工夫しておりますし、苦痛やリスクはありませんので定期的に受けるようにしてください。
根本産婦人科医院 院長 根本 将之

投稿者: 医療法人社団凌雲会

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