ドクターコラム

2024.06.21更新

こんにちわ
みなさんは梅毒(ばいどく)という感染症を聞いたことがあるでしょうか?ご存じの方も、梅毒というと昔の病気のイメージがあるかもしれません。しかし実はこのところ過去に例がないほど爆発的な勢いで増えています。梅毒は主に「性行為」で感染しますが、コロナ禍後、マッチングアプリ、SNSの影響で奔放な性活動が活発になったことが原因であることが分かっています。
経過の中で皮膚に赤〜ピンク色の湿疹が出現し、この発疹が楊梅(ヤマモモ)の実に似ていることから梅毒と呼ばれています。発症部位は口やのど、陰部などが多いですが、無症状、そして症状が見えにくい場合もあります。
具体的には性器同士の接触、口や肛門の接触、それからキスによってうつることもあります。梅毒は感染から2〜6週間の潜伏期間を経て発症。最初に侵入した箇所で増殖したのち、リンパ節や血流を介して全身に広がります。梅毒の感染経過は第1期〜第4期に分けられています。初感染から3ヶ月以内の時期を第1期といいます。この時期の多くは無症状なので気がつきません。第2期は感染後3ヶ月から3年の期間をいいます。この時期に出る皮疹が赤〜ピンク色の湿疹ですが、出現部位が性器などなかなか自分の目にはつかないところのこともあり、また痛みもありませんので、それを性感染症の症状と自覚せず放置してしまうことも多いです。放置してしまうとさらに進行し、さらに性感染症が広がる1つの理由になっていると考えられています。梅毒は初期感染の段階で治療を行うと完治できる病気ですが、進行すれば様々な症状がでます。そして第3期、4期など末期ともなれば神経症状、心臓や血管の症状が現れることがあります。
繰り返しますが、梅毒は性行為感染症つまりセックスでうつる病気です。性病というとどうしても不特定の方と性行為を行うような限られた方がなる感染症と思われている方が多いと思います。しかし感染した人の中で、配偶者や恋人などの「特定のパートナーとしか性行為をしていない」と答えた人が、男性では49%女性では84%という結果が出ました。今のパートナーはとても誠実で信頼できる方であったとしても、そのパートナーの前の彼女、のその前の彼氏、のその前の彼女・・・がどんな方とお付き合いしていたかなどたどることは出来ませんので、ごく普通の生活をしていても知らず知らずのうちに感染してしまっていることが十分にあり得るのです。ましてや不特定の相手と性行為をする人は、特定のパートナーとだけ性行為をする人に比べて、感染した経験のある割合がおよそ1.8倍に上ったという調査結果もあります。

こうした中で、私たちは自分、そして大切な人の体をどう守ればいいのでしょうか?次回は予防、検査、治療についてお話しましょう。
根本産婦人科医院  院長 根本 将之

投稿者: 医療法人社団凌雲会

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