ドクターコラム

2024.08.23更新

本日は性器ヘルペスについて。

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染によって、性器に浅い潰瘍または水疱を生じさせる疾患です。痛みやかゆみを伴うこともあり、時には排尿痛など重症化することもあります。このウイルスには抗ウイルス薬があるので、症状を緩和することは出来ることが多いのですが、困ったことに再発を繰り返すことが特徴です。HSVは初感染後、一時的に治ったと思ってもいなくなったわけではなく、神経節(神経と神経の接合部)に引っ込んだだけで持続的に潜伏し続けます。通常は自身の抵抗力、免疫の力などで、HSVが神経節から出てこないように抑えているのですが、疲れやストレスなどで免疫が低下したりすると、それが引き金となって再活性化しこの神経節より表面に出てきて再発病変を生じます。このようにHSVは一度感染すると体内からいなくなることはなく、生涯に渡り付き合っていく必要がある疾患です。
発症したら出来るだけ速やかに抗ウイルス薬を内服、塗布して頂くことが重要です。まずは抗ウイルス薬を5日間内服して頂きます。「出来るだけ速やかに」という意味は、抗ヘルペスウイルス薬はウイルスの増殖を抑制する薬剤ですので、ウイルスが増える前にできるだけ早期に治療を開始することが重要だということです。ですからおかしいと思った時にはなるべく早く受診していただき、ウイルスが少ない内に治療をお受けいただきたいのです。

病院にすぐには行けないということもありえます。「すぐに治療すれば重症化せずに済むことが十分に期待できるのに」ということで、次回は再発性器ヘルペスに対し事前に処方しておき、患者さんのご自分の判断で内服頂く新しい性器ヘルペスの薬の紹介をしましょう。
根本産婦人科医院  院長 根本 将之

投稿者: 医療法人社団凌雲会

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