ドクターコラム「妊娠中の出血のいろいろ 〜受診と妊婦健診が大切〜」

本日は妊娠中の出血について。
妊娠中の出血は心配になりますよね。出血の原因は様々で、時には緊急的に処置をしなければならないこともありますので、必ず速やかに受診いただくとして、可能性のある代表的な原因ついて簡単に説明します。

まず妊娠初期の出血ですが、多くの場合は着床つまり受精卵が子宮内膜に着床する際に起こる軽い出血です。通常2~3日で止まりますので心配ない場合が多いです。もちろん出血が流産の前兆であることもありますので、鮮血が続く、生理痛よりも痛い下腹部の痛みがある場合は特にすぐに受診して下さい。
妊娠中期~後期の出血は様々です。
まずは子宮頸管ポリープ。 良性の腫瘍で、少量の出血が見られることがありますが、妊娠中は経過観察することが多いです。次に切迫流産・切迫早産。これは子宮の収縮によるお腹の張りや痛みを伴う出血です。中には内側から子宮口が開いてきて今にも赤ちゃんが出てきそうになることもあります。超音波にて子宮の出口の長さ(子宮頸管長)を測定するなどして診断をします。いずれにしても子宮収縮、つまりお腹が張り過ぎていることが原因ですので安静が必要で、時には子宮収縮抑制剤を使うこともあります。
次に前置胎盤・低置胎盤。胎盤が子宮口をおおっている、あるいは非常に近い位置にあるため、ほんのちょっと子宮口が緩むだけで出血をします。この出血は大量に出る割には腹痛がそれほどでもないというのも特徴です。痛くないから大丈夫だろうなどと思わず必ず受診して下さい。もちろん定期的な妊婦健診の中で胎盤の位置は必ずチェックしていますので、前置胎盤・低置胎盤と言われなければ大丈夫ですから、ご心配なく。
ただ位置には全く問題ないのに突然胎盤が子宮壁から剥がれ出血を起こすことがあります。これが常位胎盤早期剥離です。前置胎盤からの出血とは対照的に、出血量はさほどではないこともありますが、お腹がものすごく痛くなります。もちろん胎盤が剥がれるということは赤ちゃんに送られる血液が少なくなるので緊急の対応が必要になります。

以上、今日は妊娠中の出血につきお話をしました。代表的なものだけでもこれだけ原因があるのですから、出血があった場合は自己判断せずに医師に連絡し指示を仰ぐことが重要です。
このコラム、これまでは皆さんにすぐにお伝えしたいことにつき毎週定期的に触れて参りましたが、大体お伝えしたので今後は不定期に必要があった時にお伝えするようにしましょう。
根本産婦人科医院  院長 根本 将之

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